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編集後記
真口 宏介
pp.572
発行日 2011年7月15日
Published Date 2011/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1428100459
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膵癌の予後が不良であることは周知の事実であるが,胆道癌の予後も必ずしもよいとは言えない.厚生労働省の統計データによる主な癌の部位別年間死亡数(2008年)では,膵癌が約28,000人で第5位であり,胆囊・肝外胆管癌も約18,000人で第6位となっており,両者を合わせた死亡数は50,000人弱でほぼ胃癌の死亡数に匹敵している.言うまでもなく膵・胆道癌の早期発見が重要な課題である.しかし,発生頻度が低い癌の発見には効率性が求められ,的確なハイリスクグループの選定が必須となる.膵・胆管合流異常は胆道癌のハイリスクであることは間違いなく,その発見にはUSによる胆囊壁の内側低エコー層の肥厚所見がポイントとなることもわかってきている.
一方,膵・胆管合流異常では癌以外に胆囊腺筋腫症やポリープ,結石,炎症なども比較的高頻度にみられることが明らかにされている.「膵・胆管合流異常であれば,胆囊は切除するので細かな診断は必要ない」という意見もあるが,癌と良性病変では腹腔鏡下か開腹かの術式が異なり,さらに悪性の場合には進展度により膵頭十二指腸切除や肝切除を要するかにも影響する.このことから2010年の臨床消化器病研究会の主題として「膵・胆管合流異常と胆囊病変」が取り上げられた.
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