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編集後記
真口 宏介
pp.226
発行日 2011年3月15日
Published Date 2011/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1428100386
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「肝門部胆管癌の進展度と手術術式」は,外科医のみならず内科医,放射線科医,病理医にとっても難しいながら興味のあるテーマである.「肝門部」は狭い範囲であるが,解剖学的に複雑であり,癌の進展度診断が難しく,手術適応の有無,術式の選択は外科医に委ねられていた.さらに外科の方針にも施設間差があり,「切除不能」の定義が大きく異なっていた.このため内科医は「切除不能」と診断された例に対しメタリックステントを留置し,他施設の外科医から非難されることもあった.言わば内科医にとっても外科医にとっても扱いの難しい癌であった.しかし,最近では門脈塞栓術の開発,普及により定型的な肝葉切除術(右葉,左葉,右3区域,左3区域)が行い得るようになり,水平方向の癌進展については「胆管分離限界点」を基準とした進展度診断を行い,残肝側をドレナージするといった方向性が示され,手術適応と術式選択について診断医と外科医との間の垣根が取り除かれつつある.
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