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編集後記
真口 宏介
pp.700
発行日 2009年11月15日
Published Date 2009/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1428100218
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早いもので2009年度の最終号を迎えた.今年のビッグニュースは自民党が衆議院選挙で大敗し,民主党が大勝したことである.旧体制からの脱却と新しい時代への変化を求めた結果である.ただ,この流れのまま民主党が政権を担当し,順調に進められるかどうかについては心配な点もある.長く続いた体制が変わる時には,必ず障害が生まれ,そして反対意見が出る.かつて築き上げたものの中から良いことは素直に継承し,悪い部分は修正し,新しい体制を作りあげることが大切であり,少しでも前に進むことを期待したい.
さて,今回のテーマ「自己免疫性膵炎の最前線」は,画像診断を柱とした「肝胆膵画像」誌としては珍しく,疾患概念,背景に加えて,病理学的事項についての欧米での考え方,新しい診断基準とこれから公表予定のガイドラインの紹介,治療に関する問題などについて幅広く取り上げた「新しい試み」である.その理由としては,下瀬川先生が「序説」で述べているように,「本疾患はしばしば膵癌や胆道癌との鑑別が問題となり,膵頭十二指腸切除術や肝切除といった過大な手術が施行されている例が少なくないこと,逆に安易なステロイド治療により膵癌や胆道癌の手術時期を逸してしまう恐れがあること」による.また,「本疾患は膵に特異的なものではなく,IgG4に関連した全身疾患であること」の認識も重要な点である.
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