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特集 肝門部胆管癌に対する術前胆道ドレナージ
海外ではどうしている?
アメリカ―流行よりも冷静な判断で対応
Present policy of preoperative biliary drainage before resection for hilar cholangiocarcinoma in US:treatment based on not popularity but calm judgement
遠藤 格
1
Itaru ENDO
1
1横浜市立大学大学院医学研究科 消化器病態外科
1Department of Gastroenterological Surgery,Yokohama City University,Graduate School of Medicine,Yokohama
pp.320-321
発行日 2009年5月15日
Published Date 2009/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1428100157
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悪性胆道閉塞に対する胆道ドレナージの功罪については,2000年前後に世界各国からの報告が相次いだ.筆者は2006年に米国ニューヨークのMSKCC(Memorial Sloan-Kettering Cancer Center)に留学する機会を得た.米国では基本的に胆道ドレナージを行わないで根治術を行う方針と聞いていたが,実際はどうであったか.
2000年前後にMSKCCは膵頭十二指腸切除術,胆道癌肝切除術における術前胆道ドレナージの功罪についての論文を発表している1,2).前者は膵頭十二指腸切除240例を対象とした.術前胆道ドレナージを施行されたのは73%で,感染性合併症,術後死亡率ともに術前胆道ドレナージ群で有意に高率であったことから,可能ならドレナージを行わないほうがよいとした.後者では71例の肝門部胆管癌症例を対象とした.術前胆道ドレナージ群では術中胆汁培養の陽性率,術後感染症発生率が高かったが,在院日数,術後死亡率には差が認められなかった.また,術後感染症と術中胆汁培養から検出された細菌は59%の症例で一致しており,術前胆道ドレナージによって汚染された胆汁の「罪」の部分が強調された.
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