粘液産生膵腫瘍のEUS・IDUSに基づいた悪性度診断と治療方針

Differential Diagnosis Between Benign and Malignant Lesion in Patients With Intraductal Mucinous Tumor of the Pancreas (IPMT) by Using Endoscopic Ultrasonography (EUS) and Intraductal Ultrasonography (IDUS), and Therapeutic Management of IPMT Based on EUS and IDUS

　膵管内乳頭腫瘍（IPMT）は比較的高齢者に多く進行が緩やかであることや，同時多発が多いことなどから治療方針決定に際し，良・悪性の鑑別診断と進展度診断が重要である．超音波内視鏡（EUS）と膵管腔内超音波（IDUS）は体外式超音波あるいはX線CTなどに比べ膵内，膵周囲の詳細な画像所見を得ることができる．良・悪性の鑑別において，EUSは嚢胞径28mm，主膵管径10mmをカットオフ値とすると，正診率がそれぞれ64％，50％程度であり，他の画像診断に比べ特に優れてはいなかったが，隆起性病変の描出率は80％，正診率70％と良好であった．一方，IDUSは隆起の高さ5mm以上を悪性とすると正診率77％と高い診断能を有していた．EUS,IDUSによる術前診断はIPMTの治療方針決定に不可欠である．