Japanese
English
症例報告
診断が困難であった肝限局性病変の1例
A Case of the Focal Hepatic Lesion Mimicking a Hepatocellular Carcinoma
水野 環
1
,
坂本 宏司
1
,
豊田 秀徳
1
,
渡辺 美帆
1
,
鈴木 理恵
1
,
浅野 正裕
1
,
林 隆男
1
,
竹内 文康
1
,
上松 正尚
1
,
久保 裕史
1
,
鈴木 智博
1
,
今井 英夫
1
,
堀口 祐爾
1
Tamaki MIZUNO
1
,
Hiroshi SAKAMOTO
1
,
Hidenori TOYOTA
1
,
Miho WATANABE
1
,
Rie SUZUKI
1
,
Masahiro ASANO
1
,
Takao HAYASHI
1
,
Fumiyasu TAKEUCHI
1
,
Masanao UEMATSU
1
,
Hiroshi KUBO
1
,
Tomohiro SUZUKI
1
,
hideo IMAI
1
,
Yuji HORIGUCHI
1
1藤田保健衛生大学消化器内科
1Department of Internal Medicine, Fujita Health University School of Medicine
キーワード:
アルコール性肝硬変
,
肝血管腫
,
肝細胞癌
,
胆管細胞癌
,
細胆管増生
Keyword:
アルコール性肝硬変
,
肝血管腫
,
肝細胞癌
,
胆管細胞癌
,
細胆管増生
pp.585-589
発行日 2000年9月15日
Published Date 2000/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1427900218
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
患者は62歳,男性.1990年5月からアルコール性肝硬変で外来通院していた.1999年6月の腹部超音波検査で径12mmの低エコー腫瘤を認めた.CTでは,腫瘤部はearly phase, late phaseともにenhancementが認められ,肝血管腫が示唆されたが,パワードプラでは血流シグナルの腫瘤への流入像と拍動波が認められ,肝細胞癌も疑われた.血管造影検査では,動脈相,平衡相とも腫瘍濃染を認めた.CTAでは同部に強い濃染域を,CTAPでは非染領域として描出され,動脈血栄養に富む腫瘍性病変であった.超音波下針生検では,腺管の増殖と間質の線維化が認められ,胆管細胞癌と診断され,肝部分切除術を行った.術後病理所見では,細胆管由来の細胞が周囲の肝硬変壁に沿って増生しているが異形成は乏しく,細胆管癌ではなく限局性細胆管増生と診断した.この症例はアルコール性肝硬変に合併した限局性偽胆管増生の1例で,病因は局所的な循環障害により限局性の肝実質の脱落が生じ,同部に高度の細胆管増生を来たしたものと考えられた.
Copyright © 2000, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.