膵多発性内分泌腫瘍と肝門部異所性ガストリノーマを伴った1例

A Case of Multiple Endocrine Tumors of the Pancreas Associated with Ectopic Gastrinoma in the Hepatic Hilus

　患者は63歳，女性．下垂体腫瘍摘出術後のホルモン検査でガストリン，グルカゴン，カルシトニンが高値であった．CTで肝門部に4×4cmの造影される腫瘤，膵体部に2×2cmのisodensityな腫瘤，膵尾部に4×4cmのisodensityな腫瘤を認めた．肝門部リンパ節転移を伴う膵多発内分泌腫瘍の診断で，膵体尾部切除，肝門部腫瘍摘出，胆管切除を施行した．膵の2つの腫瘍は免疫組織学的にグルカゴン，カルシトニンが陽性で，ガストリンは陰性だった．肝門部の腫瘍はガストリンのみ陽性だった．肝門部腫瘍は膵腫瘍に比べ異型性の相違を認め，腫瘍内にリンパ節の構造を認めないことから膵多発内分泌腫瘍に合併した肝門部異所性のガストリノーマと考えられた．