発行日 2015年3月1日
Published Date 2015/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015199783
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症例は統合失調症を既往にもつ66歳女性で、精神病院入院中に急性十二指腸粘膜病変(ADML)を繰り返し、血中ガストリン値の上昇を指摘され、当院紹介となった。超音波内視鏡では膵頭部に不整形の13mm、7mm大の2つの腫瘤を認め、穿刺吸引細胞診にて神経内分泌腫瘍と診断された。カルシウム-選択的動脈内刺激薬注入法では、胃十二指腸動脈、背側膵動脈で陽性となった。腹部造影CTでは膵頭部に2つ、肝十二指腸間膜内に1つの腫瘤を認めた。腹部CT血管造影では胃十二指腸動脈造影時に膵頭部の2つの腫瘤が濃染し、背側膵動脈造影時に肝十二指腸間膜内の腫瘤が濃染した。以上より、肝十二指腸間膜内のリンパ節転移を伴う膵ガストリノーマを疑い、D2郭清を伴う亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した。病理組織学的にリンパ節原発ガストリノーマと診断された。術後血中ガストリン値は正常化し、術後1年2ヵ月経過した現在、無再発生存中である。
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