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特集 IPMNと通常型膵管癌の合併は稀か?
病理学の立場からみたIPMNの発生した膵の変化―通常型膵管癌の発生母地といえるか
Histopathological View on the Relationship Among IPMN,PanIN and Ductal Adenocarcinoma
福嶋 敬宜
1
Yoshinori FUKUSHIMA
1
1東京大学大学院医学系研究科人体病理学・病理診断学分野
1Department of Human Pathology,Graduate School of Medicine and Faculty of Medicine,The University of Tokyo,Tokyo
キーワード:
IPMN
,
PanIN
,
膵管癌
Keyword:
IPMN
,
PanIN
,
膵管癌
pp.329-334
発行日 2007年7月15日
Published Date 2007/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1427100593
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要旨 最近,膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)と膵管癌の合併例が多く報告されるようになり,IPMNに関連した膵管癌の発育進展について興味がもたれるようになってきた.IPMN周辺の膵管枝には異型上皮がしばしば見られ,また末梢膵管の内腔閉塞による閉塞性膵炎の結果として腺房細胞や内分泌細胞の膵管上皮様の化生なども見られる.IPMNが発生する膵臓は通常型膵管癌の発生母地といえるのかという問に対しては,いまだ不明な点が多いものの,①IPMNに高頻度に膵管癌が同時性,異時性に発生してくること,②通常型膵管癌とIPMNには共通する遺伝子異常が多く,またIPMNとPanINの腫瘍性病変としての近似性が推測されること,③緩徐な発育を示すIPMNによって背景膵には慢性炎症が持続しており,この慢性炎症の持続が発癌に関与している可能性がある,など,それを推す所見や仮説がいくつか考えられる.
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