講座 最新の消化器CT診断
門脈のCT angiography(CT portography)
山下 康行
1
1熊本大学医学部放射線医学講座
pp.435-439
発行日 2003年5月15日
Published Date 2003/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1427100474
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門脈の血行障害が起きると門脈圧が上昇し,側副路が発達する.門脈圧亢進症は障害部位に応じて肝内性,肝前性,肝後性に分けられる.肝後性のものでも,長期のうっ血が続くと肝実質の変化をきたし肝内性の門脈血流障害がみられる.さらに門脈圧亢進に伴い,側副血行路の発達以外に,脾腫,肝機能低下による腹水なども見られることがある.胆囊壁や腸管壁の浮腫もしばしば合併する.
側副路は肝前性では門脈閉塞群を迂回して肝に向かう血流がみられ求肝性(hepatopetal)であるが,他の門脈圧亢進症では一般に肝外に向かう遠肝性(hepatofugal)の側副血行が発達し,門脈系と体循環系との交通がみられる.遠肝性側副路の発達は肝内外での側副路が形成され,消化管の静脈瘤の出血や肝性脳症の原因となる.静脈瘤破裂は,依然として門脈圧亢進症における大きな死因の1つとされている.
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