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はじめに
肝胆膵領域における救急疾患は,主として外傷や炎症,捻転などが原因で起こるが,出血や腹膜炎,エンドトキシン血症さらにDICやショック,多臓器不全などの致命的な病態に容易に移行しやすく,速やかな対応が必要である.American College of Emergency Physiciansでは,救急診療ガイドラインであるThe model of the clinical practice of emergency medi-cine1)を報告しており,これによれば,診療における緊急性はCritical,Emergent,Lower acuityに分類されており,静脈瘤破裂,外傷,急性胆管炎,急性膵炎などがCriticalに含まれ,その他の肝胆膵救急疾患もEmergentに分類されている.いずれにしても迅速で的確な診断と時期を逸さぬ治療が重要となる.
実際の臨床においては,救急入院時や急変時に診断機器をいかに使い分けるか,さらにいかなる治療法がもっとも有用なのか,治療効果判定法は何が推奨されるかを即座に判断するのは困難な場合が少なくない.このような病態にこそ診療ガイドラインが重要となる.この場合,診断治療方法は根拠に基づいていること(Evidence based medicine)が原則であるが2,3),緊急時は各症例がきわめて多彩かつ変化に富むことが多いため,専門医の臨床的意見(Expert opinion)も重視し,十分なコンセンサスを得ることが必要となる.
近年,医療機器の進歩に伴い診断および治療法は飛躍的に進歩したが,その一方,複雑多様化のために施設によって診療内容が大きく異なる可能性も少なくない.今回の特集は現時点での基本的診療指針を提示すべく,それぞれの分野での第一人者の先生方にご執筆いただいている.日常の救急診療に大いに参考にされることを望むものである.
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