Japanese
English
特集 急性膵炎―画像診断と治療選択
合併症の画像診断と治療対策
急性膵炎とnon-occlusive mesenteric ischemia(NOMI)
Acute Pancreatitis and Non-occlusive Mesenteric Ischemia : NOMI
広田 昌彦
1
,
杉田 裕樹
1
,
大村谷 昌樹
1
,
前田 圭介
1
,
市原 敦史
1
,
井上 耕太郎
1
,
太田尾 龍
1
,
別府 透
1
,
高森 啓史
1
,
金光 敬一郎
1
,
池田 理
2
,
島田 信也
1
,
江上 寛
1
Masahiko HIROTA
1
,
Hiroki SUGITA
1
,
Masaki OOMURAYA
1
,
Keisuke MAEDA
1
,
Atsushi ICHIHARA
1
,
Kotaro INOUE
1
,
Ryu OOTAO
1
,
Tohoru BEPPU
1
,
Keishi TAKAMORI
1
,
Keiichiro KANEMITSU
1
,
Osamu IKEDA
2
,
Shinya SHIMADA
1
,
Hiroshi EGAMI
1
1熊本大学消化器外科
2熊本大学放射線科
1Department of Gastroenterological Surgery,Kumamoto University
2Department of Radiology,Kumamoto University
キーワード:
NOMI
,
急性膵炎
,
腸管壊死
,
膵壊死
,
ischemic penumbra
Keyword:
NOMI
,
急性膵炎
,
腸管壊死
,
膵壊死
,
ischemic penumbra
pp.623-630
発行日 2004年9月15日
Published Date 2004/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1427100285
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要旨 重症急性膵炎の一部の症例では腹腔内の動脈が糸状に細くなり,血流が遅くなっている.本現象は局所的にも生じ,また可逆的であることから動脈の攣縮と考えている.このような動脈の高度攣縮下では,重症急性膵炎の場合,トロンビンをはじめとした凝固系酵素が高度に活性化されてDIC状態にあるうえ,血管内脱水や腹腔内圧の上昇も存在することから,きわめて微小血栓が生じやすい状況にあると言える.血管が微小血栓を形成して組織が梗塞に陥ると病態がさらに悪化することは容易に想像される.このような病態を腸管領域に生じたものがNOMI(non-occlusive mesenteric ischemia)である.重症急性膵炎の内,NOMI合併例,NOMI非合併例の致死率は,それぞれ63%,10%と,NOMI合併例の致死率がきわめて高いこと,および腹腔内動脈の攣縮像の頻度が重症度スコアと正の相関を示すことより,腹腔内動脈の攣縮は急性膵炎の重症度の指標であると言える.急性膵炎全体におけるNOMIの頻度は約7%とそれほど稀ではないことから,急性膵炎,特に重症例の診療においては,NOMIを含めた腹腔内の循環不全への対策が重要である.本稿ではNOMIを合併した重症急性膵炎症例における血管造影像を呈示するとともに,筆者らのNOMIに対する取り組みについても紹介した.
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