Japanese
English
特集 急性膵炎―画像診断と治療選択
急性膵炎の腹部単純X線と腹部超音波検査
Plain Abdominal Radiograph and Ultrasonography on the Diagnosis of Acute Pancreatitis
片岡 慶正
1
,
伊藤 令子
1
,
保田 宏明
1
,
阪上 順一
1
,
光藤 章二
1
,
岡上 武
1
Keisho KATAOKA
1
,
Reiko ITOH
1
,
Hiroaki YASUDA
1
,
Junichi SAKAGAMI
1
,
Shoji MITSUFUJI
1
,
Takeshi OKANOUE
1
1京都府立医科大学消化器病態制御学
1Department of Molecular Gastroenterology and Hepatology,Kyoto Prefectural University of Medicine,Graduate School of Medicine
キーワード:
急性膵炎
,
画像診断
,
腹部単純X線
,
腹部超音波検査
,
診療ガイドライン
Keyword:
急性膵炎
,
画像診断
,
腹部単純X線
,
腹部超音波検査
,
診療ガイドライン
pp.579-585
発行日 2004年9月15日
Published Date 2004/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1427100279
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要旨 急性膵炎を含めた急性腹症の正確な診断には画像診断を欠かすことが出来ない.その中でも腹部単純X線と腹部超音波(US)は,実地診療の場においてまず最初に行われる検査法である.急性膵炎は初期治療開始のタイミングやその内容が,患者の予後を大きく左右することから迅速かつ的確な診断が望まれる.急性膵炎の画像診断は,膵腫大,膵実質の変化と膵周辺から膵周囲を越えた炎症の波及が診断のポイントとなる.USは簡便であり,膵腫大,膵内部実質エコーの変化,膵炎に伴うfluid collection(膵周囲腔液体貯留,腹水,胸水,膵囊胞)の検出や膵炎の成因となる胆石や胆道感染症の検索にはきわめて有用な検査法であり,CTにはない利点を有している.一方,腹部単純X線は急性膵炎に伴う後腹膜腔から腹腔内への炎症の二次的変化を反映した所見を捉えたものであり,その異常所見は必ずしも急性膵炎に特異的なものではない.急性膵炎の重症度判定には消化管ガスや脂肪組織の影響を受けずに膵~膵周囲を含めた後腹膜腔~腹腔内の全体像がより客観的に評価できるCT検査が最も優れる点については疑いの余地はない.
2003年7月に「エビデンスに基づいた急性膵炎の診療ガイドライン」が発刊された.急性膵炎診療にあたる臨床医に実際的な診療指針を示すこのガイドラインでは,診断において腹部単純X線とUSは共に最もランクの高い推奨度Aに位置している.すなわち,「その推奨の効果に対して強い根拠があり,その臨床上の有用性も明らかである」検査法であり,その臨床的意義は重要である.
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