misdiagnosisに学ぶ
―術前診断―胃癌肝転移疑い
佐々木 洋
1
,
山田 晃正
1
,
大東 弘明
1
,
江口 英利
1
,
村田 昌之
2
,
宮崎 さや子
3
,
石田 哲士
4
,
田中 幸子
4
,
上堂 文也
5
,
石黒 信吾
6
,
石川 治
7
,
今岡 真義
7
1大阪府立成人病センター消化器外科
2大阪府立成人病センター放射線診断科
3大阪府立成人病センター臨床検査科
4大阪府立成人病センター検診部
5大阪府立成人病センター消化器内科
6大阪府立成人病センター病理診断科
7大阪府立成人病センター
pp.523-529
発行日 2006年9月15日
Published Date 2006/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1427100208
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症例提示
70歳代,男性.
既往歴 2003年2月,前立腺癌にて前立腺切除術.
家族歴 特記すべきことなし.
現病歴 2004年6月,人間ドックの胃内視鏡検査において,胃前庭部前壁にⅡ型胃癌病変が発見された(図1).生検の結果はwell differentiated tubular adenocarcinomaであった.
超音波検査にて①S6肝下縁付近の肝表面に18mm径のやや不整形の高エコー像を認め,内部に4mm径低エコー像を含んでいた.Marginal strong echo patternを示していた(図2a).造影エコーにおいては,動-門脈相ではspottyなenhancementがring状に連なり(図3a),実質相では広い範囲の欠損像となった(図4a).また,②S8にも17mm径の類球型の等~低エコー像を認め,marginal strong echo patternを示していた(図2b).造影エコーでは,動-門脈相でスポット状のenhancementを示し(図3b),実質相では欠損像を示さず,肝実質と同様の染影を示した(図4b).超音波診断では,S8の腫瘍は典型的な海綿状血管腫と診断されたが,S6の腫瘍は,通常のエコー像は血管腫を示唆する所見であったが,造影エコーのパターンからは肝血管腫よりも転移性肝癌あるいは肝内胆管癌がより疑われた.精査と治療の目的にて入院となった.
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