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●はじめに
みなさん,こんにちは.この連載も第4回目となりましたが,今回は十二指腸球部からのコンベックス型超音波内視鏡の走査法の解説をします.私は常々,コンベックス型超音波内視鏡検査の真骨頂の一つは真に今回解説する十二指腸球部からの走査ではないかと思っています.その理由を以下に述べます.
その第一は,既に超音波内視鏡下穿刺(EUS―FNAB)を行っておられる先生は理解していただけるかと思いますが,膵頭部病変に対してEUS―FNABを行う際に十二指腸下行脚からの穿刺では針が滑ったり,曲がったりして結構大変です.このような時には少し視点を変えて十二指腸球部に内視鏡先端を位置させて穿刺を行うと意外にスムーズにやれることがあります.
第二点目は,私たちは乳頭部に癌が浸潤して内視鏡的に胆道ドレナージができず,また肝内胆管の拡張がほとんどなくて経皮経肝胆道ドレナージが難しい時に,EUS―FNABの要領で十二指腸球部から直接肝外胆管を穿刺し,胆管ドレナージを行う方法を開発しました.EUS―FNABの技術を利用して胆道ドレナージを行う際の穿刺場所に関しては幾つかのルートが提案されていますが,私たちの経験では内視鏡を十二指腸球部内に挿入し,その先端を肝門部に向け胆管を描出した時がベストと考えています(図1,2).
第三の理由は,通常のラジアル型超音波内視鏡で十二指腸球部付近からの走査が意外と難しいことです.その原因に関しては真口先生の技術講座―「超音波内視鏡(ラジアル走査式)による膵・胆道領域の描出法」の連載第5回,第6回に詳しく解説されていますが,スコープの位置や先端の向きの違いによって胆囊,胆管,膵臓の描出のされ方が大きく異なるからです.また,十二指腸球部では描出される管腔構造が結構多く存在し,それが胆管,膵管,血管のいずれなのか,血管なら何動脈か,何静脈か迷ってしまったことはありませんか? 特に病変により側副血行路が発達していたり,囊胞性病変が多発している時にはお手上げ状態になります.最近開発された電子ラジアル型超音波内視鏡を用いてドプラを使用すれば,血管か,胆管か,膵管か等の区別は一目瞭然です.しかし,これを用いてもラジアル式超音波内視鏡による十二指腸球部内での詳細な血管解剖は難しく,今後検討されなければならない課題ではないでしょうか.
それではラジアル式超音波内視鏡より一足先に十二指腸球部内での血管解剖も含めた走査の解説を始めたいと思います.
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