連載 臨床神経学プロムナード—60余年を顧みて・18
Guillain-Barré症候群(GBS)の知られざる歴史的展開—(1)注目されなかった半世紀 (2)誤解と共に広がる (3)「syndrome」とは
平山 惠造
1,2
1千葉大学(神経学講座)
2日本神経治療学会
pp.1037-1039
発行日 2022年8月1日
Published Date 2022/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416202175
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本誌の前身である『神経研究の進歩』誌の「古典のページ」欄に「Guillain-Barré症候群(1916)」1)と題して,原著(1916)2)の全文の和訳を解説と共に収載して(1966)から半世紀余になる。それより数年前,第3回日本臨床神経学会総会(1962)でSymposium「Myeloradiculoneuritis」の中の一部でGBSが討論された。加瀬正夫先生らの意見はGuillainらの原著に則り「一疾患」との見解であったが,他にはGuillain-Barré「症候群」と「病」とを使い分けるべきだ等の発言もあり,当時の日本におけるGBSの認識はまちまちであった。その背景には日本では,Guillainらの原著(1916)の後に,彼らの追加発表(1936)3,4)が伝わらず,理解されない情況が続いたためと思われる。これは当時の時代的背景を物語る一面でもあろう(日本は大正時代でフランスの情勢に詳しい三浦謹之助が既に東京帝國大学教授を退官した後であった)。
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