LETTERS
レンブラント絵画の中の「脳と神経」
森 望
1
1福岡国際医療福祉大学医療学部
pp.1040-1041
発行日 2022年8月1日
Published Date 2022/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416202176
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昨年末の編集委員からのクリスマスプレゼントと銘打たれた『芸術家と神経学』(2021年12月号)は,コロナ禍の重苦しい空気の中で,思いがけずふらっと過去の歴史と欧州への小旅行をさせていただいた,そんな気のするありがたい特集だった。今回取り上げられた芸術家以外にも,ピカソ,ムンク,ダリ,あるいは有名なエリック・カンデルによる『神経科学』の「知覚」の章の扉絵にある相貌失認を患ったチャック・クロスの自画像1)や,自閉症と言われるスティーブン・ウィルシャーが一瞬にして描き上げる大都市の精密な鳥瞰図2)などを思い起こせば,いつかまたこんな特集の続編に出会えることを期待したくもなる。
表紙にあったゴッホの《夜のカフェテラス》の店先のチェアにそっと腰掛けて夜空を見上げれば,一見,綿帽子のようにも見える大きな星が輝いている。歴史上あまたいる科学者や芸術家の中で,この星のように輝く巨星はそう多くはない。そんな中でも,17世紀オランダのレンブラント・ファン・レイン(Rembrandt van Rijn,1606〜1669)がそんな巨星の1つであることを疑う人はないだろう。ここでは,この『芸術家と神経学』の特集にからめて,レンブラント絵画に見られる「BRAIN and NERVE」について言及しておきたい。
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