連載 臨床神経学プロムナード—60余年を顧みて・9
「若年性一側上肢筋萎縮症〔後の平山病〕」の英文原著論文をめぐる三様の評価
平山 惠造
1,2
1千葉大学(神経学講座)
2日本神経治療学会
pp.1294-1295
発行日 2021年11月1日
Published Date 2021/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416201933
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少し前置きがある。本症の記述は筆者の学位論文(1959年11月)1)の一部に付記する形で示したのに始まるが,その翌月には本症単独の論文を12例を以って発表した2)。「病因は不明であるが,従来知られている疾患にはみられない臨床的特徴を呈するものとして,若年性一側上肢筋萎縮症と仮称し,将来,剖検を待って解明されるものと思われる」と結んだ。発表後の本邦での評価は区区で,脊髄性進行性筋萎縮症の亜型説や,頸椎症説,外傷説など,本症の独立性を認めるものは乏しかった。しかし更に症例も増え,20例に及ぶ観察から英文での発表を冲中重雄教授の許可を得て,英文雑誌に投稿し,受理された3)。1963年8月のことであった。それは筆者がフランス政府給費留学生として出発する(9月)直前で,論文別刷を受け取る間もなく渡航した。
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