書評
「神経眼科学を学ぶ人のために 第3版」—三村 治【著】
村上 晶
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1順天堂大学大学院医学研究科眼科学講座
pp.1258
発行日 2021年11月1日
Published Date 2021/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416201926
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私自身,神経眼科学については,系統立った教育を受けないまま,眼科医として仕事をしている。したがって,この領域は正直言ってあまり得意ではない。苦手と言ってもよいかもしれない。そういう私が頼りにしている1冊が,三村治先生の執筆による『神経眼科学を学ぶ人のために』である。おそらく,神経眼科を基本から学ぶ入門書としても,どう診断するか迷う症例の答えを探すときにも多くの眼科医が手に取っているのではと思う。
今回,改訂第3版が発刊され,これまで以上に見やすいイラストと懇切丁寧に解説された臨床画像が満載されており,さらに頼もしい1冊になっている。専門外の者にとっては,神経眼科疾患を前にして,どう診察を始めてよいか迷うことが少なくない。そういう気持ちを察するかのように,診断のコツ,そして優先すべき検査を明解に記述くださっているのがありがたい。余裕のないときは,ボールドで印刷されているところに注意を払って読んでいくことで大切なことを逃さずに要点を整理できる構成になっている。治療についても,最初の一手からその後の経過の見方まで,豊富な経験と最新の知見をもとにポイントを絞った形で記載されている。エビデンスの蓄積がまたれるような新しい知見や,専門家の視点で注目している事柄の記載がコラム「Close Up」として各所にちりばめられているのでじっくり読み込む楽しみもある。
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