LETTERS
腦機能は神経細胞脱落数だけでは論じきれなく,シナプス脱落こそ重要
生田 房弘
1
1元・新潟大学腦研究所神経病理学教室
pp.622-624
発行日 2019年6月1日
Published Date 2019/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416201326
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はじめに
この表題はあまりにも当然過ぎることである。
それにもかかわらず,筆者1)は神経細胞機能障害を神経細胞体の脱落数だけで論ずるという,誠に稚拙な考察をしてしまった。
腦構造の基本は神経細胞体から多数の垂直や水平方向の樹状突起を伸ばし,それらにそれぞれ数萬個ものシナプスを付け,他の神経細胞からの情報を受信している特異性にあることは,いまや萬人の知ることであると言うのに。
それは永年の間,水俣病症状の軽重を,せめて医師間で少しでも「理」にかなう,できれば数値で語り合える手段はないものかと思案の末に,たどり着いたのが「認知機能障害発現と神経細胞脱落数」についてのTerryら2)や,Andrade-Moraesら3)の数値での検索結果であった。
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