増刊号 心電図が臨床につながる本。
Ⅲ章 波形からみた心電図[2] 不整脈関連Plus
QRSの脱落
杉本 健一
1
1東京慈恵会医科大学葛飾医療センター中央検査部
pp.1233-1239
発行日 2016年10月30日
Published Date 2016/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542200988
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Overview
QRSの1拍の脱落は心電図上,突然出現するRR間隔の延長として記録される.突然,RR間隔が延長する病態は,①洞不整脈(呼吸性不整脈),②洞房ブロックあるいは洞停止,③房室ブロックを伴った心房期外収縮〔APC(atrial premature contraction) with block〕,④2度房室ブロックの4つの機序が大半を占めている.
突然出現したRR延長診断のフローチャートを図1に示す.延長前の最後のQRSと延長後の最初のP波の間に,P波があるのかどうかが鑑別の主眼となる.なければ,①洞不整脈(呼吸性不整脈)か②洞房ブロックあるいは洞停止,P波があれば③APC with blockか④2度房室ブロックのどちらかと診断できる.早期性が強い異所性PならばAPC with block,P波が洞性Pなら2度房室ブロックと診断され,さらに,2度房室ブロックであればWenckebach型かMobitzⅡ型かの鑑別が必要となる.
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