巻頭言
巻頭言
神田 隆
1
1山口大学大学院医学系研究科臨床神経学講座
pp.299
発行日 2019年4月1日
Published Date 2019/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416201264
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本号から編集主幹を仰せつかりました。初代の岩田 誠先生,二代目の河村 満先生に続いて私で三代目ということになります。謹んでご挨拶を申し上げます。
私は昭和56年東京医科歯科大学医学部の卒業で,信州大学第三内科教授を経て赴任された塚越 廣教授が創立され,2年目に入った神経内科学講座に入局しました。当時は日本に神経内科の講座がやっとでき始めた頃で,ナンバー内科と並列されて置かれる医学部内の講座としては,京都大学と並んで日本のはしりであったと記憶しています。出来立ての教室で大きな未来が感じられたこと,塚越教授の鮮やかな臨床を目のあたりにしたことなどが入局のきっかけではありましたが,当時の東京医科歯科大学には,解剖の萬年 甫先生,薬理の大塚正徳先生,生理の古河太郎先生,精神科の島薗安雄先生をはじめとする神経関連の錚々たる大家がおられ,学年の若いうちからこれらの先生方の直接の薫陶を受けることができたのが神経学を目指す素地としてあったのだと思います。私は当初から形態学に興味があったので,大学院生として当時東京都立老人総合研究所におられた朝長正徳先生(のち東大脳研病理教授)のもとで末梢神経の病理学的研究に従事しました。平成16年に現職の山口大学に移って今年で15年目になり,現在の研究の興味の中心は神経系のバリアー機能のコントロールに向かっています。この研究のヒントは末梢神経の病理所見でみられた疑問から得られたものであり,今でも神経形態学・病理学は神経研究の要となる分野であるという認識は持ち続けています。
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