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書評 「『BRAIN and NERVE』2017年4月号増大特集 ブロードマン領野の現在地」
山鳥 重
1
1前神戸学院大学
pp.87
発行日 2018年1月1日
Published Date 2018/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416200954
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ここにご紹介するのは通常の書籍でなく,雑誌の増大特集号だが,脳に関心ある人にはぜひお勧めしたい実にユニークな号である。これだけで完結した書物になっている。
ブロードマンの領野と聞けば,医学や心理学や脳科学を勉強した人なら,たぶん誰もが,「あ,あれか」とピンと来るのではなかろうか。脳の表面図に解剖部位名の代わりに番号が打ってある,あれである。ブロードマンは,ヒトを含めて全部で8種の哺乳動物の大脳皮質神経細胞の分布状態を調べあげ,その6層構造の違いによって大脳皮質を52の領野に分け,それぞれに1から52までの番号を振った。細胞構築の違いに基づいたこの領野番号は,その後,脳科学の共通語となって今日に至っている。ブロードマンは,ヒトおよび他の哺乳類で,皮質層構造が共通する部位に共通の番号を振っているので,ヒトと哺乳類の比較研究には,今も欠かせない便利な地図なのである。筆者も現役時代,机の引き出しにいつもブロードマン脳地図をしのばせて,1日に何度も引っ張り出しては,参照していたのを思い出す。
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