Japanese
English
特集 第1回神経病理懇話会
猫の知覚運動領野からの投射について
Projections from the sensory-motor cortex of cats
草間 敏夫
1
,
大谷 克巳
1
,
川名 悦郎
1
,
秋葉 拡
1
,
小 平昌
1
Toshio Kusama
1
,
Katsumi Ōtani
1
,
Etsuro Kawana
1
,
Hiroshi Akiba
1
,
Akira Odaira
1
1千葉大学医学部第一解剖学教室
1The 1st Dept. of Anatomy, School of Medicine, Chiba Univ.
pp.4-24
発行日 1960年10月30日
Published Date 1960/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431901806
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I.緒言
我々がいただいた題目は"解剖学からみた錐体外路系"である。しかし,錐体外路系全般についてのデーターを我々はもたず,また解剖学からみた錐体外路系の定義については小川教授がすでに最近発表した。ここでは,秋葉と小平が中心になつて研究した猫の知覚運動領野に属するS字状回(四肢域)と冠状固(顔面域)からの投射の比較研究についてのべる。錐体外路系の定義は人によつてひろさに相異があるが,錐体路以外の運動系をさすことに一致している。錐体外路系が錐体路以外の運動系をさすということは,本系が錐体路との対比なしでは考えられないことを意味する。猫の知覚運動領野から錐体路が起始することは当然であるが,平沢が強調したように錐体外路系の線維もたしかにでる。しかし,我々の所見によつても,猫の知覚運動領野からの投射は従来考えられていた以上に複雑である。サイバネティックスをもちだすまでもなく,つきつめれば運動系と知覚系の区別も明確でなくなる。運動系の定義に不明瞭さがあれば"運動系"を錐休路と錐体外路系にわけることも,かなり概念的でありうる。実際に,猫の知覚運動領野からの投射が錐体路と錐体外路系の二つだけに分類できるか,両者をどのように区別するか,はたして厳密に両者を区分できるかはこれからの問題の1つになりうると思う。
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