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書評 「神経症状の診かた・考えかた General Neurologyのすすめ 第2版」—福武 敏夫【著】
神田 隆
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1山口大・神経内科学
pp.57
発行日 2018年1月1日
Published Date 2018/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416200950
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この書評は京都で開催中の世界神経学会のロビーで書いています。世界中から専門家が集まる国際学会の中にいますと,臨床神経学のバックグラウンドにある神経科学,遺伝学,分子生物学が目覚ましい進歩を遂げていること,疾患の概念,考え方や治療へのアプローチが刻々と変わっていることが身を持って実感できます。
評者は9年前に研修医・医学生に向けての教科書を単著で上梓しました。5年前に大幅に内容を改訂して第2版を出版,今,第3版の準備をしています。なぜって? このすさまじい進歩のせいです,というしかないのですが,このたび,わが敬愛する福武敏夫先生が『神経症状の診かた・考えかた』の第2版を出されました。初版は福武先生の考え方がストレートに伝わってくる私の愛読書で,とても臨床のよくできる同僚が(失礼)隣にいてくれる気分で読ませていただいていましたが,わずか3年余のスピード改訂となりました。神経診察学・症候学は既に完成された体系です。大きな変化が(たぶん)ないこの分野で,どうしてこんな急な改訂が必要か? 答えはこの本の中に書いてあります。福武先生が伝えたい神経学のエッセンスがこの3年間でどんどん増えてきたこと,しっかり伝えるためにはどうしたらいいかという親切心がさらにパワーアップしたこと,別の言葉で言えば,福武先生の臨床が今なお日々進歩していることの証しだろうと思います。
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