学会印象記
ESC 2016—25th European Stroke Conference(2016年4月13〜15日,ヴェニス,イタリア)
河野 優
1
1東京慈恵会医科大学神経内科
pp.1114-1116
発行日 2016年9月1日
Published Date 2016/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416200559
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2016年4月13〜15日に,イタリアのヴェニスで開催されたESC2016に参加しました。本学会は脳卒中の多岐にわたる分野(神経科学,画像診断,内科治療,外科治療,理学療法)に関して,欧州のみならず世界各国の研究者が集い,最先端の研究成果をon timeに聴講できる学会です。今年で既に25回目を迎え,年々,発表演題数のみならず,対象とする研究分野の広がりをみせております。私は一昨年開催のESC2014(フランス・ニース)に初めて参加し,上記のように脳卒中の基礎から臨床まで幅広いテーマを取扱い,学会会場にて熱くかつ友好的に議論を重ねる当学会の雰囲気に魅了され,毎年の参加を固く決心しておりました。昨年開催のESC2015(オーストリア・ウィーン)にも参加・発表する機会が得られ,その内容も有意義なものであったことから,今回のESC2016に対しても早々に演題登録を行い,発表の準備を進めてまいりました。
いつもなら,楽しみさえ伴う学会準備ではありますが,今年は甚だ不安要素が多いものとなりました。というのも,2015年11月13日にフランス首都・パリの観劇街で,2016年3月23日にはベルギー首都・ブリュッセルの主要機関である国際空港と地下鉄が狙われる同時多発テロが発生し,無実の市民が多数巻き添えになる状況を目の当たりにし,決して安全とは言えないこの時期の欧州に行くのは如何なものか,との疑念が払拭できなかったことにあります。実際に同僚に相談すると,「次はイタリアあたりが危ないですかね?」など冗談にもならない進言があり,普段より気を使っての出発となりました。
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