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書評 「DSM-5®診断面接ポケットマニュアル」—Abraham M. Nussbaum●原著 高橋三郎●監訳 染矢俊幸,北村秀明●訳
大森 哲郎
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1徳島大大学院・精神医学
pp.870
発行日 2015年7月1日
Published Date 2015/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416200225
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「私と同じような人っているのでしょうか」と心配そうに質問されることがよくある。患者からみれば,自分1人の固有の体験に苦しんでいるのだ。「同じようなことで困っている人はいますよ」と答えると,ほっとしたような表情を浮かべられることが多い。そして「そういう人たちはどうしているのでしょうか」という問いに,「はい,それはですね」と,やりとりが続いていく。こうして得体の知れない体験に症状ないし病名という既知の名称が与えられ,そこから診療が進んでゆく。
このとき私たちの念頭にある症状や病名の基準を提供しているのがDSMである。私たちは2013年に改訂されたその最新版になじんでおく必要がある。DSM-5に新たに導入ないし改訂された疾患概念のいくつかは,導入当初は知る人も少なかったパニック障害(DSM-Ⅲ,1980年)や双極Ⅱ型障害(DSM-Ⅳ,1994年)が今では臨床家の常識となったように,今後の臨床に不可欠となっていくだろう。
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