ポートレイト
デレク デニー-ブラウン—The last Victorian
柳澤 信夫
1
1東京工科大学医療保健学部
pp.329-338
発行日 2015年3月1日
Published Date 2015/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416200141
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はじめに
デレク デニー-ブラウン博士(Derek Ernest Denny-Brown;1901-1981)は,20世紀前半から後半にかけて,臨床神経学に生理学および病理学を組み合わせることにより,神経疾患における運動症状の神経機序の解明,神経・筋疾患の病態,治療の進歩に多大な貢献をし,さらに米国における臨床神経学の独立および教育・診療体制の確立に大きく貢献した,研究者かつ教育者である。
ニュージーランドに生まれ,大学卒業後,オクスフォードに留学をしてから,英国で研究と臨床に従事し,1941年,米国にわたりハーバード大学神経学の教授を30年以上務め,1972年の教授引退後も研究活動を続けた。この間多くの師,同僚,弟子が周囲にあり,デニー-ブラウン博士の活動を記録していることから,偉大な学者の足跡をたどるための十分な資料が残されている。
筆者は晩年の2年4カ月にわたり親しく教えを受け,共同研究を行った。今回はそのような立場から,デニー-ブラウン博士の人柄や家庭の状況も含めて,この偉大な神経学の師のポートレイトをまとめてみたい。なおここで記すデニー-ブラウン博士の履歴と業績の日付はご本人がまとめられたものに基づいている。
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