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2014年11月20〜22日にフィラデルフィアで開催された第7回Clinical Trials on Alzheimer's Disease(CTAD2014)に研究室のメンバーと2人で参加した。この学会はタイトルが示すとおり,アルツハイマー病の臨床試験に関する討議や情報交換を目的として2008年にフランスのモンペリエで開催されたのを皮切りに,2009年ラスベガス,2010年トゥールーズ(仏),2011年サンディエゴ,2012年モンテカンルロ(モナコ)と続き,前回2013年は再びサンディエゴで開催されている。今回の会場はフィラデルフィアの中心City HallのすぐそばにあるLoews Hotelで,講演・口演は約700名収容のBallroom,ポスター発表と昼食(無料)はその半階下のMillenium Hall(写真1)が当てられた。われわれはこのLoews Hotelから通りをはさんだ向かいに立つMarriott Downtownに宿泊したが,そこでは行動と認知に関する2つの学会がCTADと同じタイミングで同時開催されており,ホテル内は複数の学会参加者が入り乱れている状態であった。
さて,われわれが参加したCTADであるが,3日間の平均参加者数は席の埋まり具合から推測して400〜500名程度,おそらくそのほとんどは治験を担当する臨床医や製薬会社の人間であり,われわれのような基礎研究者はかなり少数派であるという印象を受けた。まず,参加者のほとんどがスーツ姿であり,平均年齢が高い。SfN(北米神経科学会)などで見かける学生っぽい,基礎研究者にありがちなカジュアルな服装の人間はほとんどいなかった(われわれもスーツで参加した)。また,最新の臨床試験に関する報告もいくつかあったが,どちらかといえば,発表内容の多くが臨床試験のよりよい体制づくりや,既にある臨床試験の結果からいかにして意味のあるデータを導き出すかというような話に終始しており,基礎研究者のわれわれからみるとあまり興味の持てない内容が多かった。「アルツハイマー病の新しい標的を見つけました!」とか,「新しい治療薬の候補化合物を見つけました!」とか,「新しい動物モデルをつくりました!」とかいうような発表を期待し,またわれわれはそのような発表をしに参加したわけだが,残念ながらそのような発表は非常に少なかった。少ないだけならまだしも,われわれ基礎研究者の発表になると,とたんに潮が引くように会場から聴衆がいなくなり,残っているのはせいぜい100〜150名のみという感じになってしまうのである。他の参加者とわれわれの興味の対象のズレを強く感じた次第である。
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