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アルツハイマー病治験学会(Clinical Trials on Alzheimer's Disease:CTAD)はアルツハイマー病(Alzheimer's disease:AD)をはじめとする認知症領域の臨床研究・治験に特化した,先端的でユニークな学術集会である。米国におけるAD臨床研究支援の中核組織ATRI(Alzheimer Therapeutic Research Institute)の所長を務めるPaul Aisen教授,米国ADNIを率いるMichael Weiner教授と,フランスの代表的AD臨床家であるBruno Vellas教授,Jacques Touchon教授らが手づくりで開始してから9回目を数える今回は,ATRIのお膝元であるサンディエゴで開催され,2016年12月8〜10日の3日間にわたって,最新の知見が発表,討論された。
今回の学会における最大の話題は,ごく最近終了し,残念ながら既に不成功が伝えられていた,軽症ADを対象とする抗アミロイドβ抗体医薬「ソラネズマブ」の第Ⅲ相試験「EXPEDITION 3」に関する詳細結果の公表であった。本治験は,先行して行われた軽症・中等症ADを対象とする第Ⅲ相試験「EXPEDITION」および「EXPEDITION 2」の事後解析において,軽症ADに限ると認知機能に有意な改善が確認されたことを受けて行われたものである。先行試験では約25%にアミロイド陰性の非AD例が混在したことから,本試験ではフロルベタピル(18F)を用いたアミロイドPETにより全例でアミロイド病理の存在を確認したのち,世界11カ国210施設において約2,000例の軽症ADを対象に,ソラネズマブ400mg/月の点滴静注によるランダム化二重盲検試験が1.5年にわたって行われた。
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