学会印象記
The 2014 Joint ACTRIMS-ECTRIMS Meeting (MSBOSTON2014)(2014年9月10〜13日,ボストン)
中島 一郎
1
1東北大学大学院医学系研究科神経内科学分野
pp.1524-1525
発行日 2014年12月1日
Published Date 2014/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416200071
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2014年9月10〜13日の4日間,米国のボストンで,ヨーロッパの多発性硬化症会議ECTRIMS(European Committees for Treatment and Research in Multiple Sclerosis)と,米国のACTRIMS(Americas Committees for Treatment and Research in Multiple Sclerosis)のジョイント・ミーティングが開催され,89カ国から9,000人の関係者が集い,多発性硬化症に関するあらゆることに関して議論が交わされました。医師のみならず,基礎研究者,患者団体,製薬企業なども参加し,病態の解明,診療の向上,患者QOLの向上,治療薬の開発などに関する1,000題以上の研究報告があり,とてもすべてを把握することは難しい大きな学会でした。
日本ではまだ未承認のテリフルノミド(AUBA-GIO®)やフマル酸ジエステル(Tecfidera®),アレムツズマブ(Lemtrada®)などの臨床効果の報告が沢山あったほか,ますます治療選択肢が広がる中で,患者さん自身による治療法の選択の重要性を指摘する講演が印象的でした。十分かつ正確な情報のもと,医師と患者さんが相談しながら適切な治療法を選ばなくてはならない状況が,近い将来日本にも訪れるでしょう。公正な治療アルゴリズム,治療ガイドライン作成とそれらの頻繁な改訂の必要性を感じました。
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