書評
「実践 がんサバイバーシップ 患者の人生を共に考えるがん医療をめざして」—日野原重明●監修 山内英子,松岡順治●編
小松 浩子
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1慶應義塾大学・がん看護学
pp.1521
発行日 2014年12月1日
Published Date 2014/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416200069
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「がんサバイバーシップ」という言葉を日本語として理解するのは難しい。「がんサバイバーシップ」の考え方が生まれたのは,1990年代後半の米国である。私は,ちょうどその頃に,米国のDana Farber Cancer Instituteの関連機関でがんサバイバー(がん体験者)の方にインタビューする機会を得,「がんサバイバーシップ」について,彼の次のような言葉からようやくその意味を理解することができた。「がんになったことは自分にとって大きな衝撃であったが,がんになってからの全ての体験(苦痛や苦悩も含め)が自分にとって意味のある生き方や充実した日々の生活につながることを,医療者のみならず,周りの人々との関わりの中で感じられるようになった。そう思えるようになるには,自分のがんをよくわかること,医療者に遠慮せずに治療やケアについて相談し,社会に自分のがんをわかってもらうことが必要であった。」がんサバイバーシップは,がんの診断を受けてから,がんとともに生き続けていく過程が,その人にとって意味のある生き方や日常の充実した生活につながることをめざすものといえる。
本書は,「がんサバイバーシップ」の考え方を実際に実践や研究として実行している医療従事者,専門家によって書かれたものである。あるべき論ではなく,著者自身の卓越した実践力,それを支える研究文献や理論に基づく具体的実践が示されているのですぐに実践に活用できると思える。
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