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2012年7月14~18日にバルセロナで開催された8th Federation of European Neuroscience Societies (FENS) Forum of Neuroscienceに参加してまいりました。参加者の規模でみると,日本の神経科学会のほぼ2倍で,とても広いポスター会場に十分なスペースを取って,ポスターセッションを行ってくれているので,議論もゆっくりできますし,北米神経科学会のポスターセッションの慌ただしさに比べると,神経科学がゆっくり楽しめる気がしました。ただ,発表者が大学院生のことが多く,よく理解していなかった感も否めませんでした。
ポスターセッションも興味深く,楽しく議論できましたが,プレナリーレクチャーは現在最も活動的で多様なジャンルからスピーカーを集め,Matthew Rushworth,Cori Bargmann,Michael Häusser,Henry Markram,David Tank,Daphne Bavelier,Daniel Choquet,Barry Dicksonという顔ぶれです。そしてその中で,日本から狩野方伸先生(東京大学)がプレナリーレクチャーを行ったのには,とても感激いたしました。シンポジウムも同レベルのスピーカーを揃え,分子から行動へ,光遺伝学(optogenetics),AMPA型グルタミン酸受容体の動態,精神疾患の脳科学のベースに関するエキサイティングなシンポジウムが行われ,discussionも予定の時間が延びてしまうほどの熱の入り様でした。現在,神経科学は,分子からヒト行動/ヒト疾患へとダイナミックに動いている時期です。その流れをreviewできたことは,国立精神・神経医療研究センターに所属する人間として,将来に向け1つの道を開いていただいた感じがして,とても有意義な学会でした。
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