Japanese
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連載 神経学を作った100冊(60)
フェリアー『脳の機能』(1876)
One Hundred Books which Built up Neurology (60)-David Ferrier: "The Functions of the Brain" (1876)
作田 学
1
Manabu Sakuta
1
1日本赤十字社医療センター神経内科
1Department of Neurology,Japanese Red Cross Medical Center
pp.1398-1399
発行日 2011年12月1日
Published Date 2011/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416101086
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フェリアー(David Ferrier;1843-1928)(Fig.1)1)はスコットランドの東岸のアバディーンで生まれた。アバディーン大学とエジンバラ大学で教育を受け,1870年に四丘体についての研究で学位を取った。この年ロンドンに移り,ミドルセックス病院医学校の生理学講師となった。1873年にウェスト・ライディング精神病院の紀要として「大脳の生理学と病理学についての実験的研究」を書いた。ここでは1871年にクライトン-ブラウン(James Crichton-Browne;1840-1938)によって先端的な神経研究所が設立されていた。1874~1875年のクルーニアン・レクチャーで大脳機能の局在と題して彼の研究と準備段階の研究について報告した。すなわち大脳の表面のある決まった場所が身体の反対側の決まった動きと関連しているということであった1)。彼は英国生理学会の創立メンバーであり,医学雑誌『Brain』の創立にも携わった。King's College病院の法医学教授,神経病理学教授を務め,多数の国内外の栄誉を与えられ,1911年には爵位も授けられた。
1878年に発行された『脳疾患の局在』というRoyal College of Physicianのガルストニアン・レクチャーをまとめた書物はシャルコーにささげられているが2),1881年にロンドンで開かれた国際医学会でフェリアーは彼の実験をしたサルたちを供覧した。その1つは一側の運動領を破壊し,サルは片麻痺の状態であった。シャルコーはこれをみるなり「これは患者だ!」と叫んだという3)。
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