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あとがき
中野 今治
pp.806
発行日 2011年7月1日
Published Date 2011/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416100969
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【今は昔】 私が医学部を卒業したての頃には,寝たきりになって気管切開をしていたMG患者が少なくなかった。クリーゼとは異なる呼吸困難で入院して一時的にレスピレーターを装着する患者もいた。Aさんもその1人で,呼吸困難を主訴に入退院を繰り返していた。ある日,そのようにして入院してきたAさんの主治医に駆け出しの私がなった。病室に行ってみると夫がAさんに跨って用手呼吸を続けている。それを見かねてレスピレーターの装着を婦長(看護師長)に頼んだが,「心因性だからその必要はないし,今病棟にはレスピレーターはない」とけんもほろろである。若かった私は,「もういい」と捨て台詞を吐き,ほかの病棟から借りてきて装着した。振り返ると婦長の判断のほうが正しかったのかもしれない。それでも,苦しむ患者・家族を少しでも楽にしてやりたいとの若いがゆえの直情的な行動には悔いは感じていない。
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