Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 参考文献 Reference
トゥルソ(Armand Trousseau;1801-1867)は,生まれ育ったトゥールの病院で医学の道を歩み始めた。そこではインターンとして数年間ブルトノ(Pierre Fidèle Bretonneau;1778-1862)の下で学んだ。ブルトノはジフテリアの命名者として,また最初に気管切開を成功裡に行ったことでも知られている。その後トゥルソはパリに出て,1825年に医学部を卒業した。1826年に教授資格者となり,1831年Hôpital St. Antonieの病院医師になった。1839年に治療学の講座を受け持ち,1852年にはオテル・ディユの臨床医学講座の教授に就任した(Fig.1)1)。
彼はフランスの臨床医学の礎を築き上げた。それを示すように彼の名を冠する医学用語が現在まで多く残っている。Trousseau's phenomenonとは,1つにはテタニーのときに神経を圧迫するとその支配筋が収縮するものであり,また,Trousseau's spot(tache cerebral, cerebral spot)は,皮膚を爪でかくと生じる充血性の線条をいい,各種の脳・神経疾患において,特に髄膜炎の場合に顕著にみられる。Trousseau's twitchingとは,顔面筋の反復する短い攣縮をいい,Trousseau's pointとは,神経痛における脊椎棘突起の圧痛点をいう。また,Trousseau's signとは,潜在性のテタニーの場合,圧迫帯や血圧計のマンシェットで上腕を圧迫した際に手のテタニー発作が生じることをいい,Trousseau's syndromeとは,内臓癌の際にみられる移動性血栓性静脈炎を指す。
Copyright © 2011, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.