映画の時間
―真夜中のパリに魔法がかかる―ミッドナイト・イン・パリ
桜山 豊夫
pp.436
発行日 2012年6月15日
Published Date 2012/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102455
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今年度のアカデミー賞の各部門を「アーティスト」と争った「ミッドナイト・イン・パリ」をご紹介します.舞台は題名の如くパリ,ハリウッドの売れっ子脚本家のギル(オーウェン・ウィルソン)は,プールつきのビバリーヒルズの生活を捨てても,パリの屋根裏部屋に住みたいというほど,文化香るパリの暮らしにあこがれています.冒頭,それを聞いた友人が「屋根裏部屋なんかで暮らしたら結核になるぞ」と言うセリフがあります.結核の発病に影響を与える因子についてはまだ不明の点もありますが,環境要因も無視できず,欧米でもこのような認識を持たれているところが垣間見てとれます.
ギルは婚約者イネズ(レイチェル・マクアダムス)とパリに来ていますが,彼女はパリに移住することには反対です.小さなことでは気が合うものの,人生観では意見が合いません.主人公のギルはひとりで深夜のパリを散策します.道に迷った彼の前に古いプジョーが停まり,誘われるまま車に乗り込んで訪れたパーティーの主催者は,なんとジャン・コクトー,そこは1920年代のパリだったのです.
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