Japanese
English
Neurological CPC
認知症を伴ったParkinson病85歳男性例
A 85-years Old Man with Parkinson's Disease to Accompany Dementia
吉村 菜穂子
1
,
本間 琢
2
,
村山 繁雄
3
,
織茂 智之
4
,
横地 正之
1
,
河村 満
5
,
後藤 淳
6
,
福田 隆浩
7
,
藤ヶ崎 純子
7
,
鈴木 正彦
8
1財団法人東京都保健医療公社荏原病院神経内科
2日本大学医学部病理学講座
3東京都健康長寿医療センター高齢者ブレインバンク
4関東中央病院神経内科
5昭和大学医学部内科学講座神経内科学部門
6東京都済生会中央病院神経内科
7東京慈恵会医科大学神経病理
8東京慈恵会医科大学青戸病院神経内科
pp.635-642
発行日 2010年6月1日
Published Date 2010/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416100705
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〈症例呈示〉
司会(織茂) それでは吉村先生,まず,臨床経過をお願いいたします。
主治医(吉村) 症例は,85歳で亡くなられた男性で,現役の頃は板ガラス加工の仕事をしていました。既往歴は,33歳のときに肺結核のために右の上葉切除術を受けています。このほかには,大きな既往はありません。
71歳のときに左上肢に振戦が出現し,東京慈恵会医科大学(以下,慈恵医大)でParkinson病と診断されています。最初は,左上肢の振戦だけで,Hoehn-Yahr分類の1度でしたが,徐々にすくみ現象を伴う歩行障害が顕在化しています。約10年の経過で良好にコントロールされていて,2003年5月,80歳のときに転居のため当院(荏原病院)へ紹介されました。初診時の神経学的な所見は,認知機能障害はなく,仮面様顔貌があり,言語は小声,四肢に固縮が2/5~3/5で左右差はあまりなく,静止時振戦は左手に認められました。姿勢時振戦も左に有意に認められています。歩行はよく保たれていて,方向転換をするときには軽いすくみ現象がみられますが,そのほかは非常に安定した自立歩行をしていました。
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