連載 神経学を作った100冊(8)
Marshall Hall Lectures of the Nervous System and Its Diseases (1836)
作田 学
1
1杏林大学神経内科
pp.908-909
発行日 2007年8月1日
Published Date 2007/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416100124
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マーシャル ホール(1790~1857)は1832年と1833年に明らかにした反射の実験で有名である。彼はスコットランドのBasfordで生まれ,1809年にエジンバラ医学校に入学した。3年後に卒業すると,2年間をパリやゲッチンゲン,ベルリンなどの医学校で過ごした。彼はロンドンに出て,開業し成功をおさめた。生理実験に関しては,どこの大学・研究所にも属さず,自宅で行ったと考えられている。彼の業績は脊髄を含む反射弓を明らかにしたことにあり,これは“Memoirs on the Nervous System”,“Synopsis of the Diastaltic Nervous System”1),2)にまとめられている。
もう1つ重要と思われることに,パーキンソンの原著を紹介したことがある。彼の神経系とその疾患の講義は1836年3)に出版された。これは八折り版171頁で,布装7シリング6ペンスであった。当時の評判としては,「これがマーシャル・ホール先生の見方だ。新しく独創的で,出版の価値がある。彼の研究は不滅であり,科学と人類にとって有用であろう」(Journal Hebdomadaire),「これらの観察は新しく,科学の進歩のために決定的な効果をもつだろう」(ヨハネス・ミュラー教授,Handbuch der Physiologie)などの賞賛の声が上がったという。この書物の140~141頁にパーキンソン病の記載がある。
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