連載 神経学を作った100冊(4)
Charles Bell “The nervous system of the human body” 1830
作田 学
1
1杏林大学神経内科
pp.440-441
発行日 2007年4月1日
Published Date 2007/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416100067
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チャールス・ベル(1774-1842)は英国の外科医・解剖学者で,神経学の臨床と生理学・解剖学に大きな足跡を残した。さて,1811年にベルはIdea of a New Anatomy of the Brainの中で,脊髄の前根にナイフの先を触れるとただちに筋肉が痙攣し,これに対して後根は何らの筋収縮を起こさずに切断できることを記した(p.22)。そして前根は大脳と連絡して運動と感覚を伝え,後根は小脳と連絡して生命の維持に必要な(呼吸などの)働きをつかさどると述べた(p.36)。これに対して,1822年にフランスのフランソワ・マジャンディー(1783~1855)は論文の中で,後根を切断すると感覚が消失し,前根を切断すると運動が消失し,両者を切断すると感覚も運動も消失したと記載した。ベルがこれに対して先取権を主張し始めるのが1824年の“An exposition of the natural system of the nerves…”である(Fig.1)1)。この構成は次のようになっている。2~5はオリジナルのタイトルを示す。ただし,原書には雑誌の巻やページの記載はなく,学会誌と発表年のみが記されている。
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