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糖尿病治療は内科的治療か外科的治療か?—5年間のSTAMPEDE試験の結果
細井 雅之
1
,
小原 正也
1
,
上野 宏樹
1
1大阪市立総合医療センター糖尿病内分泌センター 糖尿病内科
pp.538-540
発行日 2017年6月15日
Published Date 2017/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415200700
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2型糖尿病の治療方法として,外科的治療が進歩し,「糖尿病外科」といった分野も登場しています.しかし,内科的治療法と外科的治療法をランダムに長期間比較した臨床試験は限られていました.
この研究では,150人のBMI 27〜43kg/m2の2型糖尿病患者をランダムに内科強化治療のみと,内科強化治療にスリーブ胃切除かルーY胃バイパス手術を行う群に分けて,5年間フォローしています(図1〜5).HbA1c 6.0%未満,糖尿病薬使用有無を一次エンドポイントとしています.ランダム化した150人のうち1人は5年間のフォローの間に(内科治療群で心筋梗塞のため4年目に)死亡し,残り149人のうち134人(90%)が5年間のフォローを終了しました(9人は,ランダム群分け後すぐ,ないし6カ月以内に試験を辞退し,6人はフォローアップ中に消息不明).ベースラインでは134人の平均年齢は49±8歳で,66%は女性で,平均HbA1cは9.2±1.5%,平均BMIは37±3.5でした.ベースラインで44%がインスリンを使用していました.5年後,内科強化治療群では,一次エンドポイントを満たしたのは38例中2例(5%)であり,胃バイパス術を受けた者では49人中14人(29%)が一次エンドポイントを達成し(補正P=0.08),スリーブ胃切除を受けた者では47人中11人(23%)が一次エンドポイントを達成していました(補正P=0.07).
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