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諸言
2型糖尿病の治療で運動療法が有効であるのは,全員が認めることだと思います.しかしながら,運動の種類,時間,強度,頻度について,どれだけの期間,監視下で行っていたか否かによって運動の効果は変わります.アメリカ糖尿病協会とアメリカスポーツ医学学会はレジスタンス運動(resistance training : RT)と有酸素運動(aerobic exercise : AET)の組み合わせを中等度の強度で少なくとも週3回行うのが,どちらか一方の運動のみ行うよりも血糖コントロール改善に有効であると述べています.(エビデンスカテゴリーB).RT単独,AET単独,両者を組み合わせるcombined training(CT)の3種類の運動の心血管代謝面に及ぼす影響のメタ解析は2006年Snowlingらと2011年Chudykらによって発表されています.両研究ともにHbA1c低下効果,空腹時血糖低下,収縮期血圧,ウエスト周囲,HDLコレステロール,中性脂肪改善効果はAET,CT,そしてRTの順に優れていたと報告しています.しかしこれらの研究は,対象を安静群としています.いままで,直接,間接的に2型糖尿病患者の血糖脂質コントロールに与える影響を,この3種の運動を比較したシステマティックレビューはありませんでした.今回紹介する論文は,2型糖尿病患者においてAET,RT,CTの運動療法の血糖血圧脂質に及ぼす効果を客観的に分析する目的で行われた,システマティックレビュー,メタ解析です.監視下で行う必要性が報告されているため,このメタアナリシスでは監視下トレーニングのもののみを対象としています.
文献検索はMEDLINE,EMBASE,Cochrane Libraryから行われました.成人(19歳以上)2型糖尿病患者で,監視下で,最低8週間のランダマイズ研究を抽出しました.トレーニングは直接トレーナーによって,トレーニング教室や病院,ジムで行ったものを選択しており,家庭運動のものは除外しています.
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