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特集 各種ガイドラインを糖尿病治療に生かすには
糖尿病治療における高血圧治療ガイドラインの活用
Practical application of the Japanese Society of Hypertension Guidelines for the management of hypertension (JSH 2009) in the treatment of diabetes mellitus
丹野 雅也
1
,
三浦 哲嗣
1
1札幌医科大学医学部 内科学第二講座
キーワード:
①高血圧
,
②アンジオテンシン変換酵素阻害薬
,
③アンジオテンシンII受容体拮抗薬
,
④カルシウム拮抗薬
Keyword:
①高血圧
,
②アンジオテンシン変換酵素阻害薬
,
③アンジオテンシンII受容体拮抗薬
,
④カルシウム拮抗薬
pp.153-158
発行日 2013年3月15日
Published Date 2013/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415101469
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はじめに
本邦の糖尿病患者における高血圧合併の頻度は,非糖尿病者に比べ約2倍高い.一方,高血圧患者が糖尿病を有する頻度も非高血圧患者の2~3倍高く,共通の背景因子が両者の成因に寄与することが示唆される.高血糖,高血圧はいずれも糖尿病性合併症の発症進展に寄与し,殊に両者が合併するとそのリスクは大きく増加する.したがって,糖尿病患者の予後を改善させるためには血糖だけではなく血圧の厳格な管理が重要であり,日本高血圧学会による『高血圧治療ガイドライン』(JSH2009)1)は目標血圧および降圧薬選択を以下のように推奨している.
目標血圧:糖尿病合併の高血圧は血圧値に関わらずハイリスク群として扱う.至適降圧目標値は130/80mmHg未満とする.すでに糖尿病性腎症を合併しており1g/日以上の蛋白尿を認める場合は,さらに厳格な125/75mmHg未満での血圧管理を目標とする.
降圧薬選択:アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)とアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)を第一選択薬とし,カルシウム拮抗薬(CCB)または少量の利尿薬を第二選択薬とする.
このガイドラインが発表され,3年余が経過した.いくつかの新しい臨床試験の成績が発表され,現時点で実地臨床においてJSH2009を活用する際に生じる可能性がある疑問点として,本稿では以下の2点に焦点を絞って解説する.
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