今月の主題 高血圧症—今日の治療
合併症を有する高血圧患者の治療
糖尿病を合併する高血圧者の治療
江藤 胤尚
1
1琉球大学医学部・第3内科
pp.1402-1403
発行日 1985年8月10日
Published Date 1985/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219879
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合併の頻度と予後
糖尿病の経過中40から60%の症例に高血圧が合併してくる.また,高血圧と相前後して糖尿病が発見される症例にしばしば遭遇する.一般住民においても両者の合併率が比較的高いとするいくつかの報告がある.筆者らも,高血圧と糖尿病管理を長年行っている職域で,1,274名の高血圧管理対象者に対し経口糖負荷試験を行った1).29.7%に糖尿病型の耐糖能異常が存し,そのうち60%が新たに発見された症例であった.高血圧と糖尿病が合併すると粥状硬化を促進するので,高血圧者では一度は耐糖能を検査しておく必要があろう.
糖尿病を合併した高血圧者では予後の悪いことが知られている,高血圧の入院症例について行われた糖尿病の有無による予後調査の結果を図に示す2).糖尿病を合併した高血圧では,3年経過すると非糖尿病高血圧よりも生存率が有意に低い.糖尿病を合併した高血圧の死因を調査したが,腎不全と心筋梗塞が有意に高率であった.糖尿病を伴う高血圧では,より徹底した降圧療法が必要である.
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