今月の主題 高血圧治療の実際と新たな展開
合併症を伴う高血圧の治療
糖尿病を伴った高血圧の治療
竹田 亮祐
1
1金沢大学医学部・第2内科
pp.2144-2146
発行日 1991年12月10日
Published Date 1991/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402901282
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高血圧症患者はしばしば耐糖能障害または糖尿病を伴っており,肥満,高脂血症,高インスリン血症などとともにインスリン抵抗性に基因する1つの症候群とみなす仮説が台頭してきた.この仮説の是非はともかく,高血圧は糖尿病におけるmacroangiopathyの重要な危険因子であるばかりでなく,microangiopathy(腎症,網膜症)の増悪因子とされている.したがって,高血圧のコントロールはこれら合併症の発症および進展を阻止する上できわめて大切である.ところが糖尿病を伴った高血圧の治療は時として逆説的な問題をはらんでいる.その1つはある種の降圧薬のもつ糖および脂質代謝に対する増悪効果であり,また一方で稀ながら起こりうる低血糖である.さらに合併症の進展した糖尿病例における起立性低血圧,また著しい収縮期性高血圧,あるいは末期腎症(ESRD)にしばしばみられる降圧薬に抵抗性を示す重症高血圧への対応の難しさである.ここでは糖尿病を伴った高血圧に対する治療についての現状を述べる.
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