今月の臨床 性の分化とその異常—どこまで解明されたか
性分化のOverview
4.精神的心理的ケア—小児
藤田 敬之助
1
1大阪市立総合医療センター小児内科
pp.28-31
発行日 1999年1月10日
Published Date 1999/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903501
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性分化に異常のある疾患において,家族および本人の心理的な悩みは計り知れない.医師は,診断時,家族には正しい情報を話すが,本人には物心がついてからも説明しないことが多い.家族も本人にはどう説明してよいかわからず,説明しないままになってしまう.本人は,思春期年齢になって,自分は他の児とは少し違うことを感じるようになる.親には直接聞けず,図書館で本を調べたり,家に届く病院からの手紙をみたり,病院のカルテをちらっとみたりして,疑問を解決しようとする.多くの場合,性腺の発育が悪いので思春期がこないという説明を行い,男児として育てている場合は男性ホルモン,女児として育てている場合は女性ホルモン療法を開始する.その治療により,体型は男性化,あるいは女性化し,本人も納得する.しかし,本当に納得しているかどうかは難しいところである.少数例では,育てられていた性とは逆の二次性徴が思春期に発来することもあり,心理的な悩みはさらに大きくなる.この場合,形成術や性腺摘出術など身体的な痛みを伴う治療も考えられ,その苦痛はさらに大きくなる.
われわれは,ターナー症候群の本人や家族の会を開催し,その心理的な悩みの解決を計ってきた.本稿では,ターナー症候群の会の会員へのアンケート調査を実施したなかで精神的心理的な内容について紹介する.さらに,最近,半陰陽の人達のなかで,その半陰陽を受け入れていこうという運動が始まっている.
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