グルコサミン摂取による2型糖尿病の増悪が疑われた一例

A case of type 2 diabetes whose glycemic control might have exacerbated by administration of glucosamine

はじめに

　近年健康への関心の高まりから，特定保健用食品やサプリメントなどの健康食品の市場規模は急成長を遂げており，一説には1兆7,000億円を超えるともいわれる．そういった中で，糖尿病患者の中でもそれらの健康食品を併用している人が増えていくことは自然な流れであると言えるだろう．

　しかし，糖尿病治療の基本は食事療法，運動療法であり，健康食品などを代替医療として用いた効果の評価は確立されていない．特定保健用食品の利用による血糖改善効果の報告はあるが，長期摂取の効果を見た報告は少ないことにも留意する必要がある^1）．

　また，健康食品について一般に提供される情報はその効能について強調して提示されており，そのリスクについての情報は極めて乏しい．そのため，糖尿病とは直接関係のない目的で服用を開始した健康食品が血糖値に悪影響を及ぼす例もあり得るため注意が必要である．

　今回，変形性膝関節症による膝痛に対してグルコサミンを摂取したことにより，2型糖尿病が増悪したと推測される一例を経験したため報告する．