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症例 58歳 女性
既往歴:2型糖尿病.
家族歴:特記事項なし.
現病歴:10年前に糖尿病を診断され,通院を開始したが,自己中断.3年前より通院治療を再開し,経口糖尿病薬が開始された.今回の症状出現前まではグリベンクラミド2.5mg/日で治療されていたが,薬の飲み忘れも多かった.200X年9月11日より全身倦怠感を認めた.9月12日には悪寒,嘔吐,腰痛および38℃台の発熱が出現.9月13日にはさらに症状増悪したため,自分で救急車を呼び搬送された.
現症:身長164cm,体重48kg,BMI 17.8kg/m2,意識清明,体温38.4℃,血圧130/70mmHg,脈拍86回/分,呼吸数20回/分,結膜に貧血,黄疸なし.舌乾燥,項部硬直を認めず.表在リンパ節を触知せず.胸腹部異常なし,下肢に浮腫なし,膝蓋腱反射は正常,左肋骨脊柱角叩打痛を認めた.
検査成績:随時血糖348mg/dL,HbA1c 9.9%,WBC 11,600/μL(stab. 5.0%,seg. 92%),RBC 369×104/μL,Hb 10.2g/dL,Plt 16.3×104/μL.AST 8IU/L,ALT 7IU/L,ALP 255IU/L,TP 6.6g/dL,BUN 25.1mg/dL,Cr 1.03mg/dL,CRP 27.0mg/dL.尿蛋白4+,尿糖4+,尿ケトン体+,尿潜血3+,尿沈渣;赤血球5~10個/HPF,白血球多数.胸部X線写真;異常なし.
経過:膿尿および肋骨脊柱角叩打痛(Tips 1)から腎盂腎炎を疑い,腹部超音波検査および腹部単純CTを施行したところ,左腎内部にガス像を認め,左気腫性腎盂腎炎(Tips 2)と診断した(図1).入院当日に施行した尿のグラム染色でグラム陰性桿菌を認めた.後日,尿培養から大腸菌が確認された(Tips 3).インスリン4回注射で血糖コントロールしつつ,補液およびセフメタゾール2g/日を投与した.第4病日に解熱,血糖値も150~200mg/dLにコントロールされた.第6病日にはWBC 8,800/μL,CRP 5.1mg/dLとなり,第9病日に抗生物質をレボフロキサシン内服に変更した.第11病日に施行した腹部CTでは左腎のガス像は消失していた(図2).インスリン治療を導入し,第13病日に軽快退院した.
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