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特集 糖尿病治療の至適HbA1cを再考する
2型糖尿病治療の至適HbA1c―私の考え―大血管障害や全死亡を主なエンドポイントにしてみたとき
Optimal HbA1c levels for prevention of macrovascular disease and all cause mortality in type 2 diabetic patients―in my view
佐藤 麻子
1
1東京女子医科大学糖尿病センター
キーワード:
①HbA1c
,
②大血管障害
,
③総死亡
,
④2型糖尿病
Keyword:
①HbA1c
,
②大血管障害
,
③総死亡
,
④2型糖尿病
pp.501-505
発行日 2010年9月15日
Published Date 2010/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415101094
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□はじめに
日本では,食事の欧米化や運動不足など生活習慣の変化が続き,糖尿病とその予備群というべき人たちの数は増加の一途をたどり,いまや2,000万人を超え,「国民病」といわれる域に達している.日本人糖尿病の約95%は2型糖尿病であり,その増加に伴い動脈硬化を主体とする大血管障害も増加している.欧米の死因の第1位は心血管障害であるが,日本では死因の第1位は未だ悪性新生物である.しかし,第2位の心疾患と第3位の脳卒中を動脈硬化性疾患として合わせると,動脈硬化による死因数は増加し,悪性新生物と肩を並べる.日本の死因は悪性新生物と動脈硬化に二極化される.
糖尿病でみられる動脈硬化の病態は,狭窄が徐々に起こってくる繊維性動脈硬化と不安定なプラークで代表される粥状硬化が主なものであるが,血糖値は,耐糖能異常の段階から糖尿病歴が長くなるほど,さまざまに動脈硬化のリスクの増大に関与している.
一方,HbA1cは,過去の1~2カ月の血糖コントロールを反映する指標として広く用いられている.血糖コントロールの指標の第1は血糖値であるが,糖尿病のような慢性疾患では長期の血糖コントロールの指標が必要である.反面,血糖値には日内変動があり,低血糖や食後高血糖なども念頭に置きながらHbA1cの値を評価しなくてはいけない.
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