Japanese
English
臨床
Pickwickian Syndromeの自験症例
Our Cases of Pickwickian Syndrome
西田 修実
1
,
正木 純生
1
Osami Nishida
1
,
Sumio Masaki
1
1広島大学医学部第二内科学教室
12nd Department of Internal Medicine, School of Medicine, Hiroshima University
pp.1015-1019
発行日 1968年12月15日
Published Date 1968/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201964
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はじめに
肥満者にみられる傾眠および非活動性などについての記載は,1819年Wadd1)によるものが最初であるといわれている。その後1955年Siekerら2)は,極度の肥満に傾眠・周期性呼吸・間歇的チアノーゼ・赤血球増多症・心の右軸変位がみとめられた4症例を報告し,そのうちの3症例に心不全がみられたとして,obesity heart diseaseなる概念を発表した。また同年Auchincloss3)4)は,極度の肥満にチアノーゼ・赤血球増多症および心不全のみとめられた症例を報告して,この症例にみられた高度の低酸素血症と炭酸ガス蓄積は肺胞低換気に起因するとした。そして1956年Burwellら5)は,かかる一連の症状を示すものを症候群としてまとめ,Charles Dickensの小説"Posthumous Papers of the Pick—wick Club"に出てくるJoeという名前の著しく肥った少年においてこの症候群が巧みに表現されているとしてPickwickian Syndromeと名づけた。その後諸外国において数十例の症例報告がみられるが6)〜16),本症候群を示す日本人の症例は一之沢ら17),沼野ら18)によって報告されているのみである。
著者は,本症候群を呈した興味ある1症例に恵まれたのでその大要を報告すると同時に,諸家の症例および著明な肥満者ではあるが本症候群を呈さなかった教室経験の2症例の示した心肺機能の比較を試みつつ若干の考察をめぐらしたく思う。
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